ヤフオクで商品説明と違うのに返品に応じてくれない出品者が、盾にするノークレームノーリターンノーキャンセル。実はこの3Nはほぼ無効になるケースがほとんどなので、なぜ無効になるのかを説明いたします。
こちらの記事では落札した商品が商品説明と違うときの具体的な対処方法について、内容証明を送ったあとの手続きをまとめました。内容証明については前回の記事を参考にしてください。
こちらの記事を読むことで、落札した商品が商品説明と違う場合の具体的な対処方法を理解して、お金を取り戻すことができるようになります。また、手続きを行うかの判断ができるようになります。個人的には、5,000円以上の商品だったら簡単なので手続きをお勧めします。
【具体的な手順】
- 返品・返金できる出品者のパターン
- 返品・返金に出品者の対応(事前準備)
- 内容証明の書き方と送り方
- 内容証明後の手続き(ノークレーム・ノーリターンの効力)←今回の記事
- 被害届けの出し方
- 少額訴訟の手続き
前回の記事で説明しましたが、今回は出品者が個人の場合でかつ出品者の住所がわかる(匿名配送ではない)場合です。
内容証明以降の対応方法
内容証明を送ったことで、出品者に金利やいままで掛かった費用などを請求することができるようになります。通常の人でしたらこの時点で返金されるそうです(^_^;)
例え、出品者が内容証明の期日までに支払いができないからいつまで期限を延ばしてくれなどの交渉をしてくるケースもありますが、確実に返金されるまではこちらの作業を進めてください。時間が経てば経つほど出品者が不利になるのも事実ですが、こちらは早く解決することが先決なので。
6.取引ナビに内容証明の補足を記載する(←重要)
配達証明を付けていますので、内容証明が相手に届いた時期がわかると思います。届いたことが確認できたらいよいよ残り少ない取引ナビの出番です。
取引ナビに内容証明の補足として以下の内容を記載します。書くことで相手にこちらが本気であることを伝えるのと同時に、内容証明を読んでいないなどの言い訳手段を無くしておきます。書き方は人それぞれですが、取引ナビに書く補足内容を書いておきます。参考にしてくださいね。
出品者のノークレームノーリターンや見落としなどの記載があっても状況次第では効力がありません。個人間の取引だったとしてもです。特に新品同様品とかの記載があって、届いた商品がボロボロだったら間違いなく無効です。詳しくは自分のケースも無効なのか、正確なことは弁護士に確認する必要がありますが、私の場合は無効でした。6.1で理由を書いておきます。
【取引ナビに書く補足内容】
- 内容証明が届いたことはこちらでも確認済みであること
- 相手の主張(3N)が認められない理由(6.1を参考にしてください)
- 訴訟を行った場合、出品者の敗訴が見込まれること
- 内容証明の期日までに返金が無い場合は、刑事告訴や民事訴訟の検討を始めること
- 訴訟では商品代金とは別に訴訟に関わる印紙代、交通費、私の日当、弁護士費用等も請求すること
- 返金ない場合は、裁判所からの呼出状に従ってもらうこと
内容証明を送ることで、大抵の出品者は返金に応じてくるそうです。もちろんそれなりの交渉はしてくると思います。また、こちらの手の内を見せてしまうことにもなりますので、6.1についてはあまり詳細を伝えない方がいいと思いますので、まずは知識として持っておいてください。出品者がおかれている状況を説明するうえでは効果的ですが、逆もあり得ます。ケースバイケースだと思います。
それでも訴訟に踏み切る場合はいよいよ少額訴訟か通常訴訟の2択となります。仮に訴訟となったとしても出品者はさらに不利なのは変わらないので全く問題ありません。ちょっと手間ですけどね(^_^;)
6.1ノークレームノーリターンノーキャンセル(3N)が認められない理由
出品者(売主)が事業者(個人以外)の場合は無条件で無効となります。出品者(売主)が事業者(個人以外)であることを証明できれば深く考える必要もありません。これは今回の出品物(落札した商品)と出品者の事業内容が関係ない物でも無効となります。
出品者 | 3Nの有効性 |
事業者(個人以外) | 無条件で無効 |
個人 | 条件次第で無効 |
今回のケースは、個人間の取引であるということです。この場合は本当に面倒ですが、ほとんど無効になると思って問題ないと思います。個人間の取引というのが一番話しをややこしくしているんですがね(^_^;)
結論から書くと、出品者に非があれば、ノークレームノーリターンノーキャンセル(3N)の記載があったとしてもほぼ無効です。問題はこの「出品者に非があるかどうなのか?」となります。
ヤフオクでもメルカリでも個人間の売買なので、この売買行為は契約となり民法が適用となります。今回のケースで使えそうな法律は民法570条の瑕疵担保責任です。では瑕疵担保責任とはなにかというと、
瑕疵担保責任とは「商品に一般の人では簡単に発見できないような隠れた瑕疵(欠陥や傷))があった場合、買主は売主に損害賠償の請求、もしくは契約の解除をする事が出来る」
というものです。この「隠れた瑕疵」とは、引渡しを受けたとき、買主に通常の注意をしてもみつけることができなかった欠陥があったことを指します。つまり、落札者が商品説明や商品の画像があっても見つけられないなどがこれに該当します。受け渡し後に瑕疵(欠陥や傷)が見つかったとき、売主は法的な責任を負うことになります。これがこの瑕疵担保責任になります。
ちなみに、売主の瑕疵担保責任は無過失責任なので、出品者が知っていた・知らなかったは関係ありません。使えるのだから〇〇としての機能は果たしている。だから瑕疵ではないという意見もありますが、洋服だったら擦れや破れがあっても洋服として着れるのだから機能は果たしているというのは通じないということです。ちなみに瑕疵には傷も含まれます。出品者はクレームを受けた時点でそのような瑕疵(欠陥や傷)は気付かなかった(とぼけている?)と取引ナビで連絡してくると思いますが、出品者が知っていた・知らなかったは関係なく、瑕疵担保責任が適用されるというわけです。
この瑕疵担保責任にはもちろん、売主・買主双方の合意のもと、免責を設定することも可能です。それがこのノークレームノーリターンです。この記載があって入札しているので、売主・買主双方が合意したものと解釈されます。しかし、この免責にも無効とする条件があります。それがこちらです。
【瑕疵担保責任の免責が無効になる条件】
- 商品の瑕疵(欠陥や傷)が売主の説明と著しく異なる場合
- 売主が瑕疵(欠陥や傷)を知りながら説明していなかった場合
- 売主が業(個人事業主や法人)として販売していた場合
私の場合は、新品同様品として記載がありましたが、実際の商品はボロボロでしたので、1.の商品説明と著しく異なることとなるため、免責が無効となるそうです。
最初に説明した、「出品者(売主)が事業者(個人以外)の場合は無条件で無効」となるのは、この3.があるので無効となります。
ただし、上記の条件を満たしていてもノークレームノーリターンが有効となる場合があります。それがこちら。
【ノークレームノーリターンが有効になるケース】
- 商品の説明にジャンク品などの記載がある
- 売主の説明と著しく異なるわけではない
このケースでは民法570条は使えないため、他の方法を検討するしかありません。ただし、2.のケースだったとしても、最終的に決めるのは裁判官となりますので、諦める必要は無いと思います。
商品説明の説明義務違反を理由に返金が認められた事案も多数あるそうです。この点は契約締結上の過失と呼ばれるそうで、この法律でも戦えると思いますが、この場合は弁護士に相談するしかないので、このケースはかなり手間が掛かりそうです。
まとめ
内容証明を受け取っていて、取引ナビで連絡しても音信不通や返金対応が無い場合は、いよいよ訴訟となります。連絡があったとしても最終的な返金が行われるまでは次の作業を着実に進めていく方が無難です。時間を掛ければ掛けるほど相手は不利になっていきますが、こちらもこんなことに時間を浪費するのは勿体ないですからね。
手間は増えますが誰でもできることなのでそんなに心配はしなくても大丈夫です。次は警察への被害届と訴訟について書きますので、解決しなかった方は参考にしていただけると幸いです。
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